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企画連載・特別インタビュー ニッポン半導体の活路を開く! システムLSI最新リポート 

《各社の現状と展望》三菱電機(株)
半導体事業本部 システムLSI事業統括部事業統括部長 
土橋宏二氏


 −−三菱電機のシステムLSIの位置付けは。
 土橋 従来、システムメーカーがLSIを作るアプローチを、システム・生産・回路技術までを含めて、半導体メーカーが総合的に作り上げるもので、当社半導体の最重要事業としている。社内にシステム研究所を持ち、総合的にシステム作りに取り組んでいる。
 −−デバイスとしてのイメージは。
 土橋 DRAMを混載し、それにIPなどが載る。そしてOS、ミドルウエア、ユーザーの応用ソフトが搭載される。我々半導体は、CPU、DRAM、IPを手がけ、社内で基本ソフトやミドルウエアを開発、汎用化して他のアプリケーションにも応用可能とし社内の財産としても使う。
 −−内製と外販、どちらを重視していますか。
 土橋 ケースバイケースだ。例えば携帯電話は社内も強いが社外も多い。社外ユーザーと共同開発を進め、半導体の力をつけて事業を伸ばした経緯がある。MPEG関連では社内向けが多い。
 −−どの分野にターゲットをおいていますか。
 土橋 端末機器を狙う。小型、低消費電力の要求が今後ますます強くなり、一チップ、低電圧化など半導体の強みを出せる。当社のDRAMと32ビットマイコンをワンチップ化した「eRAM」は信号線が外に出ないことで低消費電力、バス幅を広く取れることなどによる高速化、線が短いため低ノイズが実現できる。すでにデジタルカメラ用として数社に出荷実績がある。ハードだけでなくミドルウエアも提供している。画像圧縮技術はソフトウエアで実現した。
 −−デザインルールは。 
   土橋 0.35μmだ。混載したDRAM容量は16Mビットだ。また周辺回路は外付けとした。
 −−なぜ、周辺回路は内蔵しなかったのですか。
 土橋 市場のボリュームに依存し、開発費、短納期の要素が絡む。周辺回路はゲートアレイでおこせ、短期間でロジック部を組み上げられる。しかし、コア部分はさらに時間を要する。タイム・トゥ・マーケットのため、別々で投入する方が今回のケースには適していた。ただ、0.25μmクラスではワンチップの予定で、現在0.25μm製品を開発中だ。
 −−日本メーカーはミドルウエアが課題とされています。取り組みは。
 土橋 画像や文字の認識、音声合成などは社内のシステム部が担当しており、半導体部門が市場に合うミドルウエアを最適化している。インターネットブラウザ、IrDAなど業界標準になりつつあるものはサードパーティーを活用している。
 −−コアは。オリジナルのM32Rがありますが、他社CPUも使うのですか。
 土橋 ユーザーがシステムのソフトウエアなどを開発して、ハードだけを三菱から欲しいという場合は他社のコアを提携するケースもある。一方、ミドルウエアも含めて、ハード、ソフト両方からやる場合は、当社のM16C、M32Rを使う。eRAM技術は高い評価を得ており、この技術を欲する声は多く、顧客の要求次第では、他社コアをeRAMに搭載することもある。
 −−システムLSIの売り上げは。
 土橋 97年度約600億円で、これを2000年に1200億円にする。97年度のeRAMの売り上げは150億円に達した。今後は画面付電話や携帯パソコン用途にM32R搭載品が増えそうだ。
 −−IPの考えは。
 土橋 ハードIPの標準化議論が高まっている。ソケットインターフェースを搭載する場合、最適化が必要だ。また、適用範囲を決めることが重要だ。ハードウエアは標準化すると大きなブロックとなる。従ってユーザー仕様と合わないケースも多い。これはミドル/ソフトウエアにもいえる。
 DRAMは、それ自体がシュリンクや高速化などで競争が激化しており、標準化は難しい。また、社内に活用されていない多くの資産があるが、いずれ全て標準化できるように進める。
 −−設計面は。エンジニアなどは何人体制ですか。
 土橋 設計と応用技術を合わせて千数百名いる。海外は百十数名いる。
 設計手法は例えばDVDや携帯電話は3〜4カ月でモデルチェンジが必要だ。逆にオーディオなどは1年に1回だ。製品サイクルが速いアプリケーションに対しては、トップダウン設計で対応している。しかし最も重要なのは、仕様変更に耐えられる製品仕様立案能力であると考える。
 −−生産やテクノロジー開発の現況は。
 土橋 0.25μm品を今年後半から量産する。生産拠点は西条工場A棟で0.25μm製品は少量できる。98年度に西条の多層配線ラインを増強するほか、今後0.18μm量産ラインに切り換えることも検討している。0.18μmは銅配線も想定している。
 −−後工程も新技術が注目されていますね。
 土橋 テスト手法が課題だ。現在、ロジック部とメモリー部を各々測る2パス手法だが、1パスの方向だ。
 パッケージはQFPが主流だが、CSPタイプの159ピンファインピッチBGAも増えており、QFPの25%程度を占める。500ピン以上は主にWSや通信系だが、民生は概ね200ピン以下となる。
 −−一時DRAMで様々な報道がありましたが、システムLSIとの接点は。
 土橋 システムLSIではプロセス技術をうまく活かしながらシステムLSI化する。ミドルウエア、ソフトウエアは重要だが、良いハードがあって、ソフトが動く。この相乗効果がポイントで、テクノロジードライバーとなるDRAM技術には手を抜けない。
 −−日本は百貨店的半導体事業が逆にマイナスになるとの見方もありますが。
 土橋 オーバーヘッドの問題で、何でもやるというのはどうか。ただディスクリートなどを辞めることはない。パワーデバイスなどはチップセットで見れば重要なデバイスである。日本は百貨店展開といわれるが、米国の百貨店は取り扱う商品を絞り専門化した百貨店が増えている。ポイントは切り口だ。ターゲットを絞って、強い分野に特化した事業展開を目指す。
(聞き手・システムLSI特別取材班)
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【記者のひとこと】97年度同社の半導体事業は900億円近い赤字を出し、社長交代にまで至った。DRAMを巡っては撤退の報道も流れるなど、半導体事業が岐路に立たされているのは事実。しかしeRAMの出荷が九七年度末に累積1669万個に達するなど、明るい話題も出てきている。同社がターゲットとするシステムLSIの分野は他の大手メーカーも狙っている。今後一層の激化が予測されるが、同社のセールスポイントをどう出してくるかがカギとなろう。

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