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特別ロングインタビュー
日本ガートナーグループ(株)データクエスト半導体産業分析部シニアインダストリアナリスト 小川貴史氏
「98年は0.25μm装置市場に期待」
エキシマステッパーは40%増420台予想
300ミリウエハー本格化は2002年以降
今こそ必要な装置産業の構造転換
−−ご経歴を教えて下さい。
小川 東京理科大学の大学院で物理を専攻し、半導体材料の物性を学んだ後、住友金属鉱山(株)で化合物系の材料および製造装置の研究開発に従事した。実装技術の開発にも携わり、その後、96年にデータクエストに移り、現在は半導体装置・材料分野のアナリストを担当している。
−−さて、98年度の設備投資の状況は。
小川 98年投資については、昨年末時点で2つのシナリオが考えられていた。1つは横這いで堅調に進むというもので、もう1つはアジア通貨危機の影響などでダウンするというもの。ダウンの可能性については当初騒がれたほどの懸念はなさそうなものの、今後も継続的な調査が必要だ。
−−98年の前工程製造装置市場はどうなるのか。
小川 97年末時点の設備投資が堅調に行われるというシナリオでは、ワールドワイドで前年比2%増を予想している。ただ、エキシマステッパーを始めとする0.25μmテクノロジーが生産ラインに入っており、こちらは大幅に伸びている。97年の市場規模は現在集計中だが、従来の生産規模拡張に起因する装置市場は低迷した一方、0.25μmの微細化技術に関わる装置市場は拡張した。この傾向は98年も続くだろう。
−−具体的にはどのあたりが良いのか。
小川 エキシマ露光装置、エキシマ露光用トラック、ハイデンシティープラズマCVDおよびエッチャーなどが伸びるだろう。あとはCMPが注目される。CMPはいままでロジック、ASIC分野がメインだったが、0.25μm時代に入りDRAMの分野にも導入されてきており、こういった技術が市場拡大を牽引していくだろう。
−−CMP分野で特に注目される動きは。
小川 大きな動きとして挙げられるのは、CMPとポスト洗浄装置が一体化した装置が今後メインになるだろう。洗浄を含めたCMP技術の総合力を持つメーカーというのはこれから強くなる。
−−注目を集めているエキシマステッパーに関して、台湾やアメリカのデバイスメーカーが強気の導入計画を立てているが。
小川 増えることは間違いない。97年はエキシマの出荷台数は約300台と見込まれる。98年については、97年の実績を踏まえ検討中だが、420〜440台程度と考えている。ただ、長期的に見ると、デバイスメーカーにはできるだけエキシマを減らして微細化に対応したいという気持ちがあるので、立ち上がり期のような大幅な成長率は難しい。
−−市況が悪い時はメーカー間格差が出てくるが、何かアドバイスは。
小川 98年はワールドワイドトータルで市場を持っているメーカーでないと厳しいだろう。それから、0.25μmのような最先端技術に関わる装置市場に参入しているメーカーは強い。98年は、技術に牽引される装置市場で、いかにビジネスを伸ばすかがキーになる。
−−昨年のシリコンウエハーの状況を振り返ってみると、数量は出たけれども一方でコストダウン要求が非常に厳しかったですね。
小川 シリコンウエハーについては観点が2つある。1つは年々コストダウン要求が厳しくなる中で、いかにビジネスをやるのかという点。もう1つは、量自体がいままで通り伸びるのかという点。これは、チップシュリンクが加速しているためだ。DRAMの個数が増えたとしても、ウエハー消費がいままで通り伸びるのかという点は大いに懸念されるところだ。
−−プラス要素はないか。
小川 エピタキシャルやSOIウエハーはビジネスに付加価値をもたらすものとしてプラス要因となる。0.25μm技術になると、いままで問題にならなかった微細欠陥が問題としてクローズアップされてくるが、これはエピを使って解決する方向に大部分のメーカーが動いている。エピの需要はこれからも増えていくだろう。また、SOIに関してもコストダウンを期待させるブレイクスルーのテクノロジーが出てきており、今後に期待が集まっている。
−−300mmウエハーはロードマップ的には遅れているということを聞くが。
小川 98年はR&Dおよびパイロットライン向けの装置市場が動き出すことが予想されており、ある意味では装置の元年となる。しかし、それ以降については、データクエストでは若干控え目な見方をしている。データクエストが出している、300mm装置市場が前工程製造装置市場全体に占める比率の推移予測では、サブピークを示すパターンとなっている。98年の5%から99年には10%まで伸びてピークを迎えるが、その後一旦下がる。これはR&Dおよびパイロット向けの装置市場が拡大するが、量産向け装置市場には直接つながらないためだ。実際に300mm比率が高まってくるのは2002〜2003年頃になるだろう。
−−チップシュリンクの影響も大きいのか。
小川 もちろんそうだ。設備投資をしにくいこともあり、DRAMではチップシュリンクによりウエハー効率を従来よりアップさせて乗り切ろうという動きが出てきている。300mmについては、製品ターゲットを含め、具体的なメリットを市場動向と合わせて十分に検討する必要があろう。
−−日本のメーカーに対するアドバイスは。少し戦略を変える必要があるのではないか。
小川 いま半導体の技術開発と装置ビジネスのサイクルは一つの転換期を迎えている。日本の半導体の歴史を見てみると、70年代の超LSI研究所のように、デバイスメーカーと装置メーカーが一体となって基盤技術をつくり、それを元に日本独自のアイデアを生かして伸びてきた。すべて画一的である必要はないが、研究開発ではSELETEやASETなどを通じて、一体となって基盤技術を築くスタンスがいま再び必要だ。
また、装置市場の構造を見てみると、日本のメーカーはリソグラフィー、トラックの比率が圧倒的に高い。アメリカはデポジション、エッチャーなどの複数の分野で高くなっているのだが、日本のメーカーはバランスが偏り過ぎている。今後、単一の技術分野に特化しているだけでなく、半導体全般のプロセスに関するノウハウを一層構築していく必要があるだろう。
−−装置・材料の分野で再編はあるのか。
小川 あり得るだろう。パートナーシップや連合、あるいは部門提携というような戦略的提携は十分考えられる。そういう動きが出てこなければ負けるということを装置メーカーでも感じており、模索しているところだろう。
−−日本の半導体産業は元気がないが、処方箋は。
小川 装置・材料の視点から個人的見解を言わせてもらえば、やはり少し先を見て走った方がいい。これまで短期的視野にとらわれてしまった傾向がある。アメリカは10年レンジの先の技術、ビジネスに取り組んできた。そのため、ここにきて日本メーカーが射つ弾がないといった時に、アメリカは実はいくつか持っているという状況が生まれている。もう少しロングレンジでビジネス転換なり技術開発を考える必要があるだろう。
(聞き手・本紙編集長 泉谷 渉)トップページに戻る |
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