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強誘電体メモリー、実用化へ新段階
日本勢が技術、量産で圧倒的リード。CMOSとマッチング、システムLSIの本命か〜ローム、松下、富士通など量産計画が加速

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 21世紀へ向けた“夢のメモリー”として期待される強誘電体メモリー(FeRAM)が実用化の新段階を迎えつつある。FeRAMの開発および量産化は、日本メーカーが圧倒的に世界をリードしている。DRAMの世界でマイクロンやアジア勢に押しまくられた日本メーカーとしては、来たるべき21世紀には技術的に優位性を持つFeRAMで一気の巻き返しを図るべく、各社とも量産準備段階に入った。FeRAMは、EEPROMの置き換え需要で立ち上がり、将来的にはDRAM、SRAMの分野も食っていくといわれ、21世紀の前半にはDRAM市場に匹敵するだけの巨大市場が現出すると予想する向きもある。今後の各社の開発動向から当分目が離せそうにない。

 FeRAMは唯一の不揮発性RAMで、EEPROMに比べ、書き込み速度1000倍、書き込み消費電力10分の1、書き換え回数10万倍、という優位性を持つ。CMOSのラインにマッチング性が良いことから、エンベデッド化にも最適で、システムLSIの本命ともいわれる。アプリケーションは幅広く、すでに高速道路料金自動徴収システム、バーコードに代わる商品管理システムの非接触カードとして一部実用化されている。今後セキュリティーシステム、鉄道バスなどの乗車券・定期券システム、金融機関のバンクカード、クレジットカード、FA用工場製造ライン制御システムなどに多くの需要が見込まれる。また、現在、EEPROMを使ったICカードが多く実用化されており、この7月に行われた渋谷でのスマートカードソサイエティープロジェクト(対象10万人)には、東芝製の8KEEPROMが用いられているが、FeRAMはいずれこうしたICカードにも多く進出していくことになるだろう。
 ただ、現在の課題は、書き込みサイクルでの劣化、高温での保持特性劣化、エッチングの困難さ、セルサイズが大きくなってしまうことなどがあり、また、EEPROMより安い製造コストを確立することがなかなか難しい状況にある。しかし、CMOSロジックとの相性が良いことから下地の特性が変わらず、IPをそのまま使用でき、550℃の低温処理でも十分、という利点は見逃せない。このため、単体デバイスの出荷も拡大する一方、いわゆるシステムLSIのコアとなるデバイスとして、今後急成長が予想される。現在の組み込みメモリーは、DRAMとフラッシュメモリーの組み合わせであるが、将来はFeRAM一本でいくと予測するメーカーは多く、量産へ向けての技術的ブレイクスルーが待たれるところだ。
 FeRAMの世界でいち早く量産技術を確立したのはロームで、材料の系統はPZT系、STN系の両方があり、ラムトロングループの総帥格である。97年8月、64Kおよび256Kタイプの量産を世界に先駈けて開始し、16Kについてはラムトロンへの供給を中心に展開している。京都本社工場では、6インチウエハー月産3000枚を生産しており、現在0.5μmから0.35μmへの微細加工への移行を進めている。また、先ごろ立ち上がった本社内のLSI研究開発センターは、京都市との話し合いで工場に転用することが決まっており、ここの8インチラインは月産3万枚以上の能力があることから、この新ラインでFeRAMを量産していくことになるだろう。
 松下電子工業は、モトローラの子会社と共同で、強誘電体メモリーを使用したICカードを開発しており、また、シンメトリックス社と組んで、強誘電体メモリーの共同開発も行ってきた。松下は、Y-1という新しい材料をベースにしたスマートカード用の次世代強誘電体ICをモトローラとの共同でプロジェクト化しており、99年末には最初の製品を出荷するという。また、FeRAMを内蔵した8ビットマイコンはすでに量産しており、単体デバイスとして64KビットFeRAMも量産を考えている。富山県礪波工場にFeRAMの量産ラインを新設することをほぼ内定しているもようで、今後投資計画の中身を詰めると見られる。
 富士通は、FeRAM内蔵の8ビットマイコンをICカード向けにサンプル出荷を開始するとともに、英国ダーラム工場で生産し、欧州向けに拡販している。同社では、0.5μmの加工技術、CMPによる平坦化、タングステンプラグなどを採用してCMOSロジックのプロセスに強誘電体キャパシタの形成のみを追加させ、容易にかつ低コストでFeRAMのエンベデッド化を可能にした。今後ダーラム工場は4Mの生産を打ち切り、16Mも縮小し、ロジックおよびFeRAMの量産に切り替えていく方向だ。
 日立製作所は、ラムトロンと256Kビット製品の共同開発を進め、96年12月からサンプル出荷を開始した。日立の材料はメモリーセルはPZT、キャパシターは白金系で、2TR、2キャパシター構造をとっている。生産拠点は小平の生産統括本部に強誘電体プロセスの専用ラインを設置しており、CMOS部分(0.8μm)は甲府製造本部が担当、後工程は日立北海セミコンダクタが担当している。日立の狙う当面のアプリケーションは、携帯電話、携帯情報端末などのプログラムデータ格納用である。いずれ大型の量産ラインを設置するが、既存のDRAMラインの転用も十分に考えられる。
 NECのFeRAMの研究開発は、95年6月、シンメトリックス社と技術提携し、メガビットクラスの開発を決定した。96年2月には、1M、3.3VのFeRAMの開発に成功しており、98年5月にはスマートカード用LSIの開発に成功している。しかし、当面商業ベースでの量産は考えず、16M以上の研究開発に全力を挙げ、DRAMに置き換わるだけのインパクトを期待しているようだ。材料はPZT、SBTで、電極は白金、成膜はゾル・ゲル法、RFスパッタリング法。
 その他のメーカーも動き始めた。シャープはフラッシュメモリーの有力メーカーであるが、米国セラム社と技術提携を行って、すでに256Kビットを発表、今後量産化への道を探る。ソニーは96年にビスマス層状化合物の単結晶化に成功しており、今後、強誘電体メモリー分野に進出してくる可能性が強い。また、旭化成は97年12月、ラムトロンと提携を決めており、まずはプロトタイプの共同開発を進めている。

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