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韓国半導体、まさに正念場
DRAM市況低迷が各社を直撃

現代=LGは事実上合併へ/欧州、台湾との提携を模索〜長期戦略でシステム、設計強化を計画


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IMF管理下で苦悩する韓国(写真は韓国政府・大蔵省)

  韓国半導体産業は、まさに正念場を迎えた。それを象徴する出来事が、いわゆる大型の業界再編(ビッグディール)で、先ごろ現代電子とLG半導体の半導体セクションが事実上合併することで基本的合意をみた。半導体の回路設計能力不足、半導体製造装置、半導体材料の基本的なインフラ未整備が目立つ韓国は、いままさに苦境に追い込まれている。長期戦略的には、台湾、欧州などとの提携を模索しながらシステムLSI移行の道を探るが、その道のりは非常に困難だ。
 96年第1四半期から始まったDRAM価格の急落は、DRAM量産に依存する韓国半導体メーカーの屋台骨を揺るがした。各社とも95年の最高ピークの時には大きな収益を上げたものの、ここに来て過剰な設備投資のつけが回り、まさにどん底の状態にあえいでいる。加えて昨年11月からはIMF管理下に置かれたことで、とりわけ大手財閥グループの設備投資金額が制限されている。半導体産業にとって、次世代への設備投資はまさに心臓部分であり、ここを止められては未来に対する構図はまったく描けない。
 国内に大きな市場を持たず、いわば輸出一本やりの戦略の中で、DRAM量産だけでは次のマーケットを創出することはできない。そこで、各社ともノンメモリー(システムLSI)への道を模索し始めている。サムスン電子は、現在メモリー比率が80%であるが、これを早期に60%まで落としたいとしており、エンベデッドDRAMなどのシステムLSIを一刻も早く立ち上げたいとしている。今回半導体部門で事実上の合併が決まった現代電子とLG半導体も、システムLSIに移行する以外に活路はないと考えている。現代のメモリー比率は90数%、LGのメモリー比率は88%に達しており、そのほとんどがDRAMである。こうした大手3社のDRAM依存体質を変えない限り、韓国半導体の再浮上の時期は来ないといえよう。
 現代とLGの合併劇は、当初サムスンとLGが合併するとの噂が流れたが、結果的に収益の厳しい二社がお互いを補完する形で合併するのが望ましいとの結論になったようだ。形としては、両社が出資し、合弁で半導体部門の新会社をつくるということになるが、この両社の抱える負債は15兆ウォン(約1兆8000億円)に達するといわれている。これだけ巨額の負債を抱えてのビッグディールになるわけで、韓国政府がこの債務をなんらかの形で保証しない限り、この新会社もうまく立ち上がらないとの観測が強い。まだ基本的合意をみたばかりで、経営者をどうするか、組織体制、製品戦略などについての詰めはこれからだ。
 こうした苦境下にあって、2000年以降に向けてのシナリオは、やはりシステムに強い体質をつくることだとの見解で、各社とも一致している。韓国政府の高官は、「韓国半導体の構造を根本的に変えるには、次世代半導体のR&Dセンターを政府の支援でつくる必要がある。これは、次世代製造装置や次世代LSIの回路デザインを開発するコアとなるもので、長期戦略ではこうした施策が早急に必要になるだろう」としている。
 また、システムLSIの強化については、日本のセットメーカー、半導体メーカーの協力はなかなか得られないと判断しており、現在直接シリコンバレーのベンチャーと接触している。また、欧州には大手家電メーカーが多く存在するために、まずは欧州市場でのシステムLSIの立ち上げが第一ターゲットになるとみているようだ。
 具体的には、デジタルテレビ向けのチップセットやセットトップボックス用のシステムLSI、また衛星通信用のシステムLSIなど、4〜5年後に商品として開花することが期待される品種に絞り込んで開発に注力している。政府高官筋によれば、「4〜5年先の市場創出を見込んで、システムLSIをおこし、大量生産に持ち込むという戦法は、非常に冒険的であるといえよう。しかし、これをやる以外に活路はないだろう」としており、場合によっては、欧州系のセットメーカーまたは半導体メーカーとパートナーシップを組むメーカーが出てくるとみている。
 一方、韓国にとって大きな脅威となってきた台湾半導体産業については、二つの点で重要な関心を持っている。一つは、コストダウンやスピーディーな立ち上げを考え、台湾のシリコンファンドリーを今後活用していくことだ。これは、IMF管理下で、当面巨額な設備投資に制限がつく以上、そのリスクを回避する意味でも有効な手立てとなる。もう一つは、台湾自体の持つ、システム能力、マーケティング力に期待する形で、台湾との提携による半導体ビジネスの推進を考えている。具体的な合弁の方法もプランには上っているようだ。つまり、これまでライバルであった台湾を、むしろ味方に引きつけてやっていこうという新たな戦略の模索だ。
 IDCジャパンのメインアナリストである南川明氏は、こうした現在の韓国情勢について、「半導体市況低迷下にあって、DRAMしかない韓国の前途は厳しい。米国にはMPUに代表される強いロジックがあり、日本にはシステムLSIが、台湾にはシリコンファンドリーがある。しかし、韓国には、当面、現状を打開する決め手がない。それにしても、韓国政府や各工業会などの強いリーダーシップがなければ、総合力を要求されるシステムLSIへの移行は難しいだろう」と分析する。
 いずれにしても、韓国半導体はまさに正念場の時を迎えたわけで、今回の現代=LGのビッグディールに続き、長期にわたる大胆な産業政策を次々と打ち出すことが“焦眉の急”といえるだろう。
(本紙編集長=泉谷 渉)

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