半導体商社の経営環境は、世界的な景気低迷による半導体需要の停滞で厳しさを増しており、今年度の中間期決算でも当初計画の下方修正が相次いでいる。今後も半導体調達のグローバル化、さらなるコストダウン要求などから経営環境は一層厳しくなると予想される。これまでの売り上げ規模を拡大する中での利益追求型経営は終焉、資本効率やキャッシュフローを重視した米国にみられるような先進的な経営管理手法を取り入れた経営への転換が急がれている。半導体商社は92年度ごろの半導体不況をきっかけに、体質の強化に取り組み経営改善を実行してきているが、今後はこの動きをさらに発展・加速させ、システムLSI時代における様々な顧客ニーズに対応できる、新しい半導体商社への脱皮が厳しい生存競争に勝ち残れる唯一の道だろう。
企業経営では従来の単なる売上高の追求による規模の重視から、総資本利益率(ROA)、株主資本利益率(ROE)に代表される資本効率の重視、そして事業活動の結果として得た現金であるキャッシュフローを重視する付加価値重視型に大きく転換しようとしている。こうした流れは製造業だけではなく、半導体商社にとっても経営上の緊急課題になっている。
現在、半導体商社を取り巻く経営環境をみてみると、半導体需要は依然‘底ばい’状態であるうえに注文ロットの少量化、納期の短期化はさらに顕著になっており、それに加え半導体サプライヤー、半導体ユーザー双方からの圧力で在庫は拡大傾向にある。それに追い打ちをかける金融システム崩壊による金融機関の貸し渋りは、半導体商社に資金調達面での難しさと、顧客の与信管理の徹底という本業以外の思わぬ重荷を背負わせている。
このように現状はさまざまな要因が重なり経営環境は大きく悪化しているが、根本には半導体産業の大きな構造変化がある。半導体産業は垂直統合型から水平分業型に大きく構造転換しており、それぞれ得意分野を持つ企業が業界再編を重ねながら市場を拡大していくことになろう。半導体商社も、何をセールスポイントに半導体サプライヤーそしてユーザーから存在価値を認められるのか、21世紀のシステムLSI時代への生き残りを賭けた大きなポイントになっている。
半導体商社トップの意見をまとめると、「一人一人の販売活動を活性化し商社の生産性の効率化を追求する」「ホワイトカラーの生産性の向上でコストダウンを図る」「粗利益率を重視したきちんとマージンのとれるビジネス展開」「技術サポートやモジュール化などで付加価値率を向上」「徹底した在庫管理」「売上高利益率で2%台の確保」などを経営上の課題・目標に挙げている。
半導体商社の経営は、結局のところ“ヒト、モノ、カネ”をいかに効率良く動かすかがポイントになる。今こそ各社の経営資源を最大限活かすために「選択と集中」こそが重要だ。この実行こそが、半導体の需給バランスが戻り、市況が回復すると期待される99年春以降の新たな成長に結びつくことになる。

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