中国液晶産業は、一気ににその勢力を拡大しようとしている。液晶メーカーは毎年のように増え続け、現状では中国大陸全域に60社以上の液晶メーカーがひしめいている。そのほとんどはTN液晶を生産しているが、ここに来て急ピッチにSTN生産に移行するメーカーも増えてきている。先ごろ、東芝と吉林電子がTFTで技術契約を締結したのに伴い、今後TFT液晶の分野でも参入を企図しているメーカーは数多いという。99〜2000年にかけて新工場を計画しているのは、吉林電子、天馬微電子、河北冀雅電子、信利半導体、吉林紫晶電子などがあり、設備投資機運も急速に高まっている。
中国の液晶産業の歴史は古く、すでに1969年から清華大学において、アメリカKENT研究所の指導の下に、研究開発がスタートしている。その後、世界的な液晶の拡大の歴史の中で立ち遅れていくが、90年代に入って再びその勢いを取り戻しつつある。すでに中国全土には60社以上の液晶メーカーがひしめき、98年の全中国の液晶生産は15%増の35億元(1元は15円)を上回るという。本来は20%以上の成長を予定していたが、アジア経済通貨危機の影響を受け、とりわけ東南アジア向けの輸出に影響が著しい。現在生産の80%は輸出向けで、国内は20%。また、生産比率はTNが90%、STNが10%となっており、主に携帯電話、ポケベル、ゲーム機などが需要を下支えしている。
中国光学光電子行業協会副秘書長の Liu Pei Zheng
氏は、中国液晶産業の99年以降の展望についてこう語っている。「中国の液晶は、これまでは民生用が中心であったが、今後はパソコンなど産業用も増えてくるだろう。99年についても、前年比14%増の40億元以上の生産は可能と見られ、2000年では少なくとも45億元を超えるだろう。この背景は、今後新しく造る設備が寄与してくること、デバイス、装置、材料などの分野で日本やアメリカとの提携が順調に進んでいること、などが挙げられる。当面アジア向けの出荷は厳しいため、ヨーロッパ、米国向けの輸出拡大を期待したい」。
これまでのTNに加え、STNへの生産移行も目立ち始めた。STN-LCDで中国液晶生産ランキング第1位の河北冀雅電子は、5.5インチおよび10インチのSTN生産に力を入れている。同社は、中国液晶産業が集積する石家荘エリアに立地しており、ガラス基板での設備能力は年間10万m2に達している。また、上海海晶電子は、先ごろSTN-LCDの新鋭設備を導入、14インチパネルで月産5万枚の生産が可能となった。
一方、TFTの分野では、先ごろ吉林電子が東芝のTFT技術を導入することを決め、6000万ドルで契約にサインした。当面の生産設備は300×400mmのガラス基板で、TFT12インチを年間38万枚生産する計画であるという。新会社の名前は吉林通華電子と決定した。99年10月までに第1期棟の完成・稼稼働を目指し、その後第2期工事も計画しているという。
吉林電子以外にも、TFTの分野で日本メーカーとの技術提携を望み、交渉している会社が3〜4社あるという。99〜2000年にかけて大型の新工場を計画しているのは、まず中国液晶業界最大のメーカー、天馬微電子(Tel.0755-3365301)があり、STNのラインおよびTFTのラインの両方を立ち上げる計画である。石家荘のSTNナンバー1メーカー河北冀雅電子(Tel.0311-7757926)も、大型STNの新工場を計画中。その他では、信利半導体(Tel.0660-3367888)、吉林紫晶電子(Tel.0431-4646821)、上海海晶電子(Tel.021-65217875)などがあり、いずれもTNおよびSTNの新鋭ラインを構築するという。
こうした液晶産業の急拡大機運をとらえ、中国政府は、99年10月半ばに中華人民共和国成立50周年記念の一大イベントとして、「21世紀のLCD・PDP」という大型の展示会を北京市内において開催する計画を決定した。
(本紙編集長・泉谷 渉)
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